※ヘンリー×クリスで、かつ薔薇戦争が終わった直後と思ってください。
苦手な方はブラウザバック、お願いします!
カードの名前や効果なんかは全て妄想と捏造による都合の良い設定ですので『そんな効果ねえよ!』と怒らないで読み飛ばしてやってください。
前提として薔薇戦争で十字団の長だったクリスを手に入れるために、ヘンリーと王の一騎打ちがあったと思いねえ。










↓それでもOKですか?











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『喪失 -Ressurection-』

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嫌な予感はしていた。ついに愛しい存在を手に入れたためか、気が緩んでいたのかもしれない。あるいは長かった戦いが終わったことに安堵を感じていたのか。いずれにせよ、当のクリスが敗北を受け入れ、ヘンリーの腕を拒まなかったことが最大の油断を生み出したのだといえよう。
端的に言えば、浮かれていたのだ。この想いがようやく通じることに。
夜中にふと目を覚ませば、隣にいるはずの人がいないことに、ヘンリーがどれだけ動揺したかは語るまでもない。ましてや枕元においてある眠りのカードを見れば、それがクリスの仕業であることは明白な事実だった。
青眼のカードをクリスに渡したことに関しては後悔していない。あの主従は決して余人には裂いてはならない絆があるからだ。カードを愛するヘンリーだからこそ理解することができる。
しかしながら、こんなふうにクリスが逃亡することは予想外だった。
全てが終わったのではなかったのか。クリスの性格からして、戦いに敗れた薔薇十字団のローゼンクロイツとしての責務を全うするかに思えるのだが。
自ら命を絶つことすら、あの誇り高き貴人は許さないと、そう思うのに。
いったい、なぜ。
考えられるのは青眼がらみのなにかだ。だが青眼は傷ついた魂を癒すためにクリスがカードに戻したはずだ。そしてその後封印をかけた上で青眼のカードをクリスに渡した。しかしそれは家臣たちが恐れるためにかけた簡単な封印であり、罠はずしのカードさえあればいつでも封印を解くことは容易だ。
なにか重要なことを見落としているのだろうか。クリスがこの瞬間、どこへ向かっているのかすら見当がつかない。
「ジョーノくん、クリスを・・・クリスを見なかったか?!」
警備を担当していた戦友に詰め寄ると、「まさか、逃げたのか?」と驚いた顔で聞き返された。そうでなくとも厳重な警備を引いていたヘンリーのテントの周りで、いったいどうやってクリスが抜け出したのか。これでは情報はつかめそうにない。
「くそっ・・・!」
はやくしないと、ヘンリーは永久にクリスを失ってしまう。そんな気がする。
「落ち着くことですわ」
そんなヘンリーに凛とした女性の声がかけられた。
確か、名をイシュタルといっただろうか。神秘的な力で未来を告げる役目を担った家系だったはずだ。クリスを薔薇十字軍につれてきたきっかけも彼女だったという。その謎めいた印象の美女が、月明かりの下に立っていた。
「なにか、知っているのか」
「ええ。クリスの心を何が占めているのか、貴方もご存知のはずでしょう?」
ヘンリーは苦い顔をした。この女性はヨーク家に仕えていたのだ、何かを見通しているとしても、快く教えてくれるようには見えなかった。
「青眼・・・」
「その通りですわ。きっと彼なら、最期の瞬間にこの地は選ばないでしょう」
ヘンリーは咄嗟にその言葉に反応する。
「っ最期の!?・・・それはどういうことだ!」
「言葉通りの意味ですわ。クリスはわかっていたでしょうが、前王の執念を甘く見てはいけません。呪いとは体に傷をつけるものだけではないのです」
今更ながらにヘンリーはその意味を悟って戦慄した。王が最期に放った呪いはクリスと青眼を直撃した。だがその後も一人と一体の様子には変わったところがなかったために、呪いは不発に終わったのだろうと、根拠もなくそう思っていたのだ。
だが、そうではなかったとしたら?
クリスがヘンリーに許したことと、その直後の失踪はつながってはいないか?
「・・・っ!どうか、あいつの・・・クリスの居場所がわかるのなら教えてくれ!!頼む・・・!」
イシュタルはわずかに微笑んだ。なにかを見届けたような笑みだった。
「クリスはきっとあそこにいますわ」







to be continued...

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2007/10/25
ヘンリーサイドを。あれ、せっかく誕生日なのに出てこないな・・・
あの、カードとか設定は全て都合の良い思い込みでできています。すみません。ス、スルーでお願いします!